KATCATの巣

ふしあわせという名の猫がいる-だから私はいつもひとりぼっちじゃない

阿部共実『ちーちゃんはちょっと足りない』感想

阿部共実ちーちゃんはちょっと足りない』を読み終わりましたので、その感想を。

 

 

 「ちょっと足りない」ちーちゃんに注目させておいて、ナツの「何もしないただの静かなクズ」を話の中心に持ってくる。

 

ナツと同じ「静かなクズ」である僕にとっては、不意打ちで殴られた気分です。

 

そして「ちょっと足りない」ちーちゃんのおかげでかろうじて自分の存在を許せるナツのそのグロテスクな心理模様。

 

『ONE~輝く季節へ』の上月澪ちゃんの笑顔に救われたと感じている僕にとって、自分のグロテスクな心理模様を突きつけられている状況です。

 

正直なところ、次々と刃が自分の心に突き刺さってくるので、何度か読み進めるのを一時停止してしまいました。

 

しかしそれでもだ。僕が「静かなクズ」であろうと「グロテスクな心理模様」を抱えていようと、日常は淡々と進んでいきます。

 

そしてそのような日常もたいして悪くないかもと感じる、そのような不思議な暖かさも感じる不思議な作品でした。

 

痛いだけでもなく暖かいだけでもなく、ただ「静かなクズ」にとっての日常を、上手くすくい上げて物語に昇華した、そのような不思議な作品でした。